「静」と「間」
USボストンのシンガーソングライター「スクワレル・フラワー」の2ndアルバム。
PJ Harvey等を手掛けた、UKブリストルを拠点とするAli Chantが総合プロデュースを担当しており、
彼の得意とする「生楽器」の魅力を存分に活かすアナログで温かみを大切にする音作りにより、
彼女の作品のその幾重にも重なる楽器やボーカルの「有機的」な部分を、
荒々しくも美しく、
「人間らしく」描いた「アナログバンドオーケストラ」な仕上がりとなっている。
音色一つ一つに、しっかりとした説得力と存在感を覚える。
Ali Chantのプロデュース力もだが、
25歳とは思えない表現力のある、
どこか哀しげなヴォーカル、
感情の移り変わりやその「情緒」を、
静かにも力強く表現する事に見事に成功した曲作りで、
スクワレル自身のソングライティング力も前作に比べ格段に表現の幅を増しており、
その「静」と「間」を描く事に長けたその楽曲達の世界に、聴き手は自然に引き込まれていく事であろう。
また、
この作品の世界観に多大な影響を及ぼしているであろう、ポーティスヘッドのギタリスト「エイドリアン・アトリー」の参加も無視する事は出来ない要素となっている。
「遠くを見つめる余白」がそこにはあり、
それぞれの想いを馳せながら聴く事の出来る、人生のサウンドトラックとなり得るであろう良作。